『社労士 難易度』『社会保険労務士 難易度』で調べてみると、難関資格なので覚悟して挑むべしとの声もありますよね。
今回は、社会保険労務士を目指すかどうか迷っている方に、社労士の難易度について合格率などのデータとあわせて、私自身の見解をまとめたいと思います。
合格率からみる社労士の難易度
まず最初は、統計データから難易度を確認してみましょう。こちらは、過去行われた社会保険労務士試験の合格率です。
社労士の合格率の推移
年度 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
平成20年 | 61,910 | 47,568 | 3,574 | 7.51% |
平成21年 | 52,983 | 67,745 | 4,019 | 5.93% |
平成22年 | 70,648 | 55,445 | 4,790 | 8.64% |
平成23年 | 67,662 | 53,392 | 3,855 | 7.22% |
平成24年 | 66,782 | 51,960 | 3,650 | 7.02% |
平成25年 | 63,640 | 49,292 | 2,666 | 5.41% |
平成26年 | 57,199 | 44,546 | 4,156 | 9.33% |
平成27年 | 52,612 | 40,712 | 1,051 | 2.58% |
平成28年 | 51,953 | 39,972 | 1,770 | 4.43% |
平成29年 | 49,902 | 38,685 | 2,613 | 6.75% |
平成30年 | 49,582 | 38,427 | 2,413 | 6.28% |
令和元年 | 49,570 | 38,428 | 2,525 | 6.57% |
令和2年 | 49,250 | 34,845 | 2,237 | 6.42% |
※合格者数/受験者数で合格率を算出しています。
公式サイト 全国社会保険労務士会連合会 試験センター
近年の受験傾向
社会保険や労務関係のプロフェッショナルとしての登竜門、社会保険労務士試験、通称社労士試験。
合格すると社会保険労務士として企業勤務することもできる上に、独立開業をすることもできるため、社会人の受験生も多い人気資格です。
また、政府が推進する”働き方改革”において、社会保険労務士の専門知識と経験が重宝され、今後ますますの需要が拡大してくると予測されています。
近年の難易度
数年前までは、社労士試験の合格率は8%~10%程度で推移していました。しかし、どうも平成27年度から急激に難易度が上がっているということです。もっとも合格率の低かった平成27年度の合格率は、何と一気に2.58%にまで難化しました。
52,612名が申し込み、40,712名が受験をした中で、たったの1,051名です。これがいかに狭き門であるか、数字を見ただけでも想像がつくのではないでしょうか。
平成28年度は若干合格率は上がったものの、それでもやはりたったの4.4%。1,770名しか合格を果たしていません。しかも択一の合格基準点は過去最低の42点です。
そこまで合格ラインを引き下げても4.4%しか合格できていないということは、相当難易度が上がっていると考えて間違いないでしょう。
平成29年度は合格率は6.75%にまで上昇しほぼ例年並みに戻りました。今後も難化する可能性も否定はできませんが、おそらく5%以上はキープされるとおもいます。
受験者率からみる難易度
合格率は、合格者数÷受験者数で算出されていますが、申込者数と受験者数の差に注目してみてください。毎年約1.2万人~1.5万人が試験申し込み後に、受験を辞退しています。
勉強したけど自信がないという方もいれば、時間的都合が悪くなった方もいます。ただ他の国家試験に比べて、申し込み後の受験辞退が非常に多いのです。
つまり、幅広い方々が社労士試験の勉強をしていると捉えることができると共に、いい加減な気持ちで申し込んだ人を除いた上で合格率が10%未満となっていますので難易度も相当なものだということです。
社労士試験合格までの必要勉強時間
大手資格予備校では、社会保険労務士試験に合格するまでの勉強時間目安を800~1,000時間と記載されることが多いです。
何人かの知人の社労士に聞いたきいたところ概ね1000時間という回答が多くあったので、勉強目安時間としては間違ってはいないと思います。(ただし、難化している近年の合格者は2000時間かかった...という声もありました...)
もちろん元々法律知識があるか否か、学習効率の良し悪し、予備校を利用するか否か、などにより大きく差はつきますが...
一つの学習目安として1,000時間。つまり年間300日学習するとしたら、一日3~4時間くらい勉強する覚悟はしておきましょう
1年ストレートで社労士に合格する人の割合
社労士試験に1年で合格する人はどれくらいいるのか?
予備校や試験センターでの正式発表はされていないので、あくまでも私の知る限りでの推定値になりますが...1年ストレートで社労士に合格する人はおそらく合格者の2割に満たないと思います。
社労士試験の合格率を5%と仮定すると、その2割なので1%程度。社労士試験を1年で合格することは不可能ではありませんが、難易度は高い試験だと思います。
社労士の独学受験について
独学で勉強して社労士試験に合格する...可能か不可能かでいえば独学でも合格することはできます。
ただし、非常に厳しいと言わざるをえません。
恐らく社会人が働きながら独学で取得できる文系の国家資格では最難関に位置すると思います。
もちろん、独学で司法書士試験や司法試験といった資格を取得する方もいらっしゃるので、そういった方から見ると最難関とはいえません。
わたしが受験した時のように比較的合格率が高めの年と重なれば十分合格できます。
努力次第で独学合格はできる
社労士試験の難易度でも、努力次第で独学合格はできます。
何故なら、理解すること自体はそこまで難しくないため、読んでいて意味がわからなくて誰かに聞かないと理解できないということはないからです。
ただ、試験範囲が膨大であること、暗記が多いこと、ひとつひとつの法令が複雑な上に似たような制度があって、しかもそれぞれ微妙に要件効果や数字が違っていたりします。
テキストでインプットをしている段階ではそんなに難しく感じなくても、いざ実際に問題を解いてみると難しくて全く解けないということに陥る点に注意が必要です。
独学のデメリット
また、独学だとどうしても情報が少なくなりがちです。
特に一般常識など、独学では情報がほとんどないため、ただでさえ得点しづらい科目なのにもう全く歯が立たないということも珍しくありません。法改正情報が入りにくいのも独学者にとっては不利です。
社労士試験は法改正がかなり多い上に、半分以上の法改正は受験生がほぼインプットを終えたであろう4月に情報が入ります。
4月から法改正論点を全部確認していたら、8月の試験などあっという間です。
つまり法改正から本試験までの時間が短いんですね。
それに対応するためには、4月の時点でほぼ戦える体制になっていなくてはいけませんが、独学だと4月の段階では、学習開始時期によってはまだ過去問1~2周済ませたところぐらいなのではないでしょうか。
独学についてのわたしの意見
知人から社労士の資格取得の相談をされることも多いのですが...自己啓発が目的あれば独学を勧めています。
一方、社内でのステップアップや、転職、独立目的であれば、必ず予備校の利用を勧めています。やはり学習効率が良いからです。
わたしの受験経験から...茨の道を歩む覚悟があれば独学でも合格は可能です。ただし予備校や通信講座を利用した方がはるかに勉強効率は良い。と考えています。
社労士の難易度まとめ
社労士試験の難易度についてデータでこうして見てみると、自分なりに、難しそうだな~とか何とかなりそうかも~とか、ぼんやりとでもつかめてきたのではありませんか?
社労士試験は、本気でやれば独学でも合格は可能です。ただし、やるなら今年絶対受かる!と覚悟して日々の勉強に取り組まないと合格は厳しいと思ってください。
社労士試験合格を目指す方へ伝えたいこと
いろいろ怖いことを言ってみましたが、まずは気軽にはじめてみてください。社労士の分野は向き不向きがありますし、まずは勉強をしてみないとには何もはじまりません。
社労士は合格しても稼げないとか働き口が少ないとか、いろいろネガティブなことを言われたりしますが、そういうことを言っているのは社労士の資格を持っていない人、または、売れない社労士です。。
社労士に合格すると人生が絶対変わる!とまでは言い切ることはできませんが、社労士試験合格は人生を変えるキッカケにはなります。その人生を変えるキッカケをつかむためにも、まずは全力で合格を目指しましょう!